あの「ドグラ・マグラ」夢野久作の傑作短歌が書籍化!
ただし演出家赤澤ムック氏編著により全約250歌のうち約100歌収載と全歌収載ではない、ご注意。正直全歌いっぺんに読みたかったが今の世に出す意気や良し。テーマごとに章立てされており、下の句が全部「血潮したたる」の項目には爆笑した。重野克明の挿画、赤黒の装丁が素晴らしいのでプレゼントにぜひ。
ひれ伏した乞食に人が銭を投げた
しかし乞食は
モウ死んでゐた白い乳を出させようとて
タンポヽを引き切る気持ち
彼女の腕を見る青空の隅から
ジツト眼をあけて
俺の所業を睨んでゐる奴けふも沖が
あんなに青く透いてゐる
誰か溺れて死んだだんべあたゝかいお天気のいゝ日に
道ばたで乞食し度いと
皆思つてゐる囚人が
アハハと笑つてなぐられた
アハハと笑つて囚人が死んだ教会の
彼の尖塔の真上なる
青い空から
血しほしたゝるよそのヲヂサンが
汽車に轢かれて死んでたよ
帰つて来ないお父さんかと思つたよ